今日、わたしがアウトプットするのは、「どーした どーした」
天童荒太さんが文章を書かれ、荒井良二さんが絵を描かれた絵本です。
コロナウィルスの影響で、わたしの住んでいる地域では、こどもたち(小学生、中学生、高校生)は、今日現在、図書館に入ることができません(;_;)
なので、本を借りたい時は、わたしが図書館に行って、わたしの独断と偏見で(笑)、こどもたちの絵本を借りてくるわけです(*^^*)
図書館に借りに行って、時間に余裕がない時は、絵と題名だけをみて、「おもしろそぉ~(*^^*)」と心でつぶやき、絵本の題名から、おおよその物語を自分勝手に予想しつつ(笑)、絵本の内容を見ないで借りてくる時もあります。
そして、いざ、夜寝る前の読み聞かせの段階で、わたしの想像のななめ上をいくような、予想外の絵本の展開やその内容に、驚愕( ゚Д゚)することや、涙(;_;)することも・・・しばしば(笑)
まさしく、この絵本「どーしたどーした」も、その代表格です(笑)
表紙の絵や題名からは想像できなかった、わたしにとってはヘビーな内容をあつかっている絵本でした。
でも、今となってはこどもたちと読んで良かったなと思っていますが、もし内容をしっていたら、借りるのを躊躇していたかも・・・・読んだ後、こどもたちに、絵本の内容をくわしく聞かれたときに、わたしには、こどもたちに、お話の内容をわかりやすく伝えられる自信がないなぁ~って(>_<)
(ここから絵本の内容にふれます)
この絵本は、ちょっと変わり者?かもしれない、「どーした?」が口ぐせで、「どーした?」がとっても好きな子「ゼン」が、主人公の物語です。
その子は、パパとママと四つ上のお姉ちゃんとくらしています。
ゼンは「どーした」が大好き。
たとえば、ママがキャーと叫ぶと、ゼンがかけつけて「どーした?」と聞く。
ママが「ゴキブリがでたの!」と答えると、ゼンが「たいへんだ!で、どーした?」とまた聞く。
ママが「ゴキブリにげちゃった」と答えると、ゼンが「で、ママ、どーした?」とまたまた聞く。
すると、ママが「だいじょうぶよ、ありがとう」と、ほほえむ。
ここでやめとけばいいんだけど・・・・ゼンはまた「どーした?にげたゴキブリどこかにいると思うけど・・・どーした?」とだずねちゃう(笑)
すると、ママは「こわいこと言わないで、ごはんつくれないでしょ!」とプリプリ怒ってしまいます・・・・(>_<)
・・・とこんな感じで、ゼンは、お姉ちゃんにも、パパにも、おじいちゃんおばあちゃんにも、公園のベンチで泣いていた女の人にも、ふうせんがお空に飛んで行ってしまって悲しくて泣いていた女の子にも、ママに聞いたのとおんなじように、必殺(笑)「どーした?」を繰り返すのです(*^^*)
ここらへんまでは、こどもたちに読み聞かせしながら、ゲラゲラ笑っていたのですが、次のページをひらくと、物語はすこしおもい方向にシフトしていきました・・・
だーれも気づいていないけど、線路の上にかかった橋のまんなかに男の人がぽつんとひとり。
だれも声をかけないし、その男の人の存在にさえも気づいていないかんじで、人々が通り過ぎていく。
そのうち日が暮れて、男の人はフェンスにのぼる・・・・
すると、ともだちとサッカーをしていた帰りに、その橋の上を、偶然とおりかかったゼンは、あっ!あぶない、おちちゃう!と思い、とっさに「どーした?」とフェンスにのぼっている途中の男の人に声をかけた。
すると、男の人がフェンスの上の方から、「いや・・・いい景色がみえると思ってね・・・」と答えた。
ゼンは「で、どーした」ときいた。
男の人が、「ああ・・夕日がきれいだったよ、なかなかね」と答えた。
ゼンがまた、「どーした、おじさん。おりないの?」ときいた。
ゼンに聞かれた男の人は「おりるところさ・・」とこたえた。
ゼンが男の人に「どーした、おじさん。おなかペコペコの顔だよ、早く帰った方がいいよ。みんなまってるよ。ぼくもペコペコだ・・・・」といった。
すると、男の人はいつのまにか、なみだをながしていた。
ゼンは心配になり「ぼく、わるいこと言った?よくおこられるんだよ」といった。
男の人は「ほこりが目に入ったのさ」といって、おなかマンプクの顔で帰っていった。
そして、ある朝、ゼンは学校に行く途中で、公園の横を通った時に、ひざをかかえて草むらに座っている、おなじ年くらいのこどもをみつけた。
ゼンはいつも通り「どーした?」と、そのこどもに声をかけた。
その子が顔をあげると・・・・ゼンはびっくりした。
その子の顔には、赤い色や、青の色がいっぱい・・・
ゼンは「どーした。顔に、赤とか青の色・・・ハロウィンのメイク?」
その子は「・・・まあね」と答えた。
ゼンが「朝だし、へんだよ。とったら」といい、ゼンはハンカチを公園の水でぬらした、やさしくふいてあげた。
冷たくて、その子は気持ちよさそうにしていたが、メイクは、まったくとれない。
ゼンが「どーした、メイクとれないね。だれにされたの?」と聞いた。
すると、その子が「・・・ママといっしょにいる男の人」と答えた。
その時、一時間目のチャイムが鳴り、ゼンは、立ち上がり学校に向かおうとした。
すると、そのとき、その子が「きみ、あの学校?」とゼンにきいた。
話してみると、その子はゼンと同じ学校で、組は違うけど、おなじ3年生だった。
でも、その子はよく学校を休んでるそうで、ゼンはその子を学校で一回もみたことがなかった。
ゼンがいった。「なまえは?先生に休むこと言っといたげる」
その子が答えます。「ミツ」「先生は、またかって思うだけだよ・・・」
ゼンは、それから、無関心な学校の先生や、「プライバシーが・・・」が口ぐせの仕事に追われて忙しそうな相談所の女のひとに、「ミツ、どーした?」を繰り返しますが、ゼンの「どーした?」は宙にういたままになってしまいます。
つぎの日も、つぎの日も、ミツは学校にもきません。
ミツのことが心配でたまらなったゼンは、別の友だちにミツのお家をきいて、とうとうミツのアパートをたずねます。
そしてアパートのドアを何度も何度もノックします。
「ミツ、どーした。ミツどーした。ミツどーした・・・・」
そして、このゼンの「ミツ、どーした」がきっかけで、ゼンのまわりにいる人たちにも「どーした」が連鎖していき、ここから、ミツの物語はうごきだし、そしてラストをむかえます。
ミツくんがでてきたあたりから、「あらっ・・・」と思いながら、子どもたちに読み聞かせしていた私でしたが、ラストにむけて読み進めるうちに、涙がボロボロでてきて、鼻水たらしながら、すすりながら、なんとか読み終えることができました。
7歳の長女の、読み終わってからの第一声は、「どーした?が多すぎて途中から意味わかんくなっちゃったし、ママが泣くから、もっとわかんなくなっちゃった怒。ハローウィンのメイクはとれたの?もう一回はじめからよんでくれる?」でした笑笑。
それから、まず私がおちついてから(笑)、もう一回絵本をよみながら、長女に「とれないハローウィンのメイク」というものについて、すこしずつ、すこしずつ、説明しました。
想像していたライトな感じの絵本ではなかったですが・・・親の心には、ズシリときた絵本でした。
普段、こどもたちに対して、過干渉にならないようにと考えながら生活していたけど、無関心に慣れてしまうことは、もっともっとこわいことなんだ、悲しいことなんだと、あらためてゼンくんに、そしてこの絵本に教えてもらえた気がしました。
ですから、わたしも、今日から、ゼンくんの「どーした?」精神を、受け継いでいきたいとおもいます(笑)